M's BASKET

盛り上がりをみせた高校バスケの王者に見るジャパニーズスタイル


こんにちは!テレビからバスケ報道が増えてきた昨今。その中心にあるのがNBAを射程に捉えた2名の勇者だ。ひとりはメンフィス・グリズリーズの下部組織にて奮闘を続ける渡邊雄太選手。既に2WAY契約を獲得し田臥勇太選手以来NBAのコートに立ち、スタッツを残した今のところ唯一の選手。そして控えるはNCAAの強豪・ゴンザガ大学のエースに成長し現在来期のNBAドラフト1巡目14番目に指名されると噂にのぼる八村塁選手。それにつられてかB.LEAGUEもアルバルク東京や栃木ブレックス、天皇杯を劇的に制し3連覇を達成した千葉ジェッツふなばしを中心に話題性のあるチームが取り上げられている。バスケファンにとっては大変喜ばしいことだ!
2つのリーグに分裂し、世界大会への参加を禁止されたのは今は昔といった感もあるほど、日本のバスケットボールは急速な進化を遂げている。2020年開催の東京オリンピックにも自国開催枠が言い渡されるのも時間の問題。2月に行われる敵地・アウェイ戦21日(木曜日)にイランと対戦。直ぐに移動して24日(日曜日)にはカタールとの大事な2戦が待ち構えているが、ここを連勝すればFIBAもいよいよバスケットボール日本代表のオリンピック大会参加をお許しいただけるのではなかろうか。これは実に44年ぶりの快挙となる。そして更にその後のバスケ界を盛り上げていくためにも、次世代を担う有望選手の育成は必要不可欠となる。

さて私は子どもたちと一緒に昨年末に行われたウインターカップを観戦しに遠く武蔵野の森まで連日足を伸ばした。我らが静岡県代表、飛龍高校は2回戦で強豪北陸高校に見事勝利するも、3回戦で福岡第一高校と当たり56-93と叩きのめされてしまった。しかし本当に素晴らしいチームだったことはファンの記憶に残っただろう。そして今回取り上げたいのは宿敵である福岡第一高校の方だ。
福岡第一高校と言えば、福岡大濠高校と並んで全国に名を馳せるバスケの名門校だ。毎年どちらかが優勝、もしくは準優勝をすることから2校ともに全国上位に名を連ねてきた。しかしこの大会だけは夏のインターハイにFIBA U18アジア選手権大会2018が重なり、主力が相次いで出場不可能になったことからも両校ともに2校枠をゲットする順位には入れなかった。その結果、福岡県予選は事実上の全国の決勝戦かというほど盛り上がった激戦に。その戦いを制して武蔵野の森にやってきたのがこの福岡第一高校だということだ。また上位でなかったことからトーナメントはシード枠でなくオープン参加。くじ引きにより不運な高校が餌食になってしまった。飛龍高校もその内の1校だが、初戦を戦った京都の名門、東山高校、インターハイ3位の好成績だった長野の常連、東海大学付属諏訪高校ら強豪校は、福岡第一高校に対しても大差をつけられることはなく好ゲームを見せるも敗退、姿を消してしまった。

結果はみなさん承知だろうから置いておき、その福岡第一高校の2年生ガード・河村勇輝選手に注目したい。ウインターカップの随分前から我が家の話題になっていた河村選手。私自身も子どもたちから情報を得たのが初めてで「ひとりだけ倍速で動く選手がいる」と聞いていたので、今回の観戦では楽しみにしていた選手の筆頭だった。実際、ポイントガードとしての能力の高さは前評判通りで素晴らしいプレイを連発して見せてくれた。中でも特にスピードに乗ったブレイクからの視野の広さには驚いた。車の運転でもそうだがスピードがつくと視野は狭くなるのが必然。バスケでも例外ではなく、子どもたちを教えるコーチの中には視野を保ったりスキルが安定して発揮できるくらいスピードはセーブしてプレイさせる人もいる。もちろんターンオーバーをなくしプレイを安定させるためには重要なことかもしれないが、そういったプレイをしてきた過去を持てば、あんな驚愕のスピードは身につかなかっただろう。にわか河村ファンの私は、彼が中学バスケはどうであったのか、ミニバス時代はどうだったのか知る由もないのだが、想像するに自分のストロングポイントをプレイし続けたのだろうと思う。また身長172cmの彼は、ジャパニーズバスケスタイルを司る名ガードになる可能性がある。日本バスケ界のパイオニアである田臥勇太選手、先の天皇杯MVPを獲得した富樫勇樹選手に続くスーパーガードに成長し2020年以降の継続したバスケ人気を支えることが出来る要素を持つ。加えて同校の大型でユーティリティプレイヤーの松崎裕樹選手ら走れるビッグマンを使うことが出来る河村選手は福岡第一高校のみならず、日本のアンダーカテゴリーの代表選手としても必要不可欠だ。王者に見ることが出来た走るバスケは、伝統的且つ、近未来に世界に名を挙げるジャパニーズスタイルと言って良いのではないだろうか。

最後にもうひとつ。たかが高校生がプレイするバスケット部の競技。されど身震いを起こさせるようなエンターテインメント。プロバスケにも負けないプレイを連発し会場を唸らせた選手がいる。三遠ネオフェニックスのエリアに身を置く桜丘高校の富永啓生選手だ。彼のバスケセンス、特にシューティングセンスには、私が観戦2試合ともに度肝を抜かれた。スタッツは初出場ながら得点王、6試合239点、1試合平均39.8点はダントツの成績だ。大会を通じて3ポイントを30本成功させ今大会ナンバー1のパフォーマンスで優勝した福岡第一高校の話題を食ってしまいそうだったのも少し滑稽だ。ミニバスや中学バスケじゃあるまいし、日本人選手のワンマンチームが上位を戦い抜けるほど高校バスケは甘くない。しかしそれを現実のものとしてしまった富永啓生選手。こう言ったズバ抜けた選手が登場してきているのも、新しい日本バスケ界が発展する起爆剤の一つであり、ニュージャパニーズスタイルの誕生間近とも言えよう。彼の成長、活躍はぜひ今後も目を離さずに追いかけていきたい。

次回予告は#19 変わるミニバスルールと激変する育成カテゴリーに一石を投じようと思う。

PAGE
TOP